大スランプからの脱出(1)
その生徒は女の子で、中2から
塾に入ってきたんです。先にお友達2人が
塾に通っていたのですが、お友達2人の
通知表はオール5で、その子だけ
オール4に5がチラホラという成績。
でも、人一倍「負けず嫌い」な性格で
話をしていても、その片鱗が見えるような子でした。
努力家。まっすぐ突き進む猪突猛進タイプ。
与えられた宿題は完璧にこなして「手抜き」
なんて言葉はこの子の辞書には載ってないのだろう
ってほどの真面目な生徒です。
でも、一つだけ心配な点がありました。
猪突猛進なタイプだけに、一つ引っかかると
完全に大混乱します。オーバーかもしれないけど
混乱したその子は誰もコントロールできません。
1+1すら「5」って答えてしまうくらい混乱します。
中3の春に彼女は私に言いました。
「何としても〇〇高校に入ります!」と…
平均ランクに2つ足りず、道コンの結果も10%前後
冷静に考えれば、そのひとつ下の高校を勧めるのが、
まともな進路指導なのでしょうが、ここで
否定すると暴走する可能性があるので、私はその生徒に
具体的に何をしなければいけないかを伝えました。
まずはオール4の通知表を極力「5」にする事。
オール5になってもランクは一つ上げるのがやっと
なので、その次に当日点で250点を目指す事。
道コンで徐々にでも250点を獲れるようになる事。
もし、これがうまくいったとしても確実に
合格できるかは保証できないけど、それでも狙う?
と聞いてみると、目をキラキラさせて「ハイ!」と
答えてくれました。
新学期が始まって、変化はすぐに現れました。
私の具体的な目標提示は、この生徒の猪突猛進に
いわば「ターボ機能」を搭載したくらいの効果が
あったのです。オール5の二人の友人がノラリクラリ
と勉強をこなしている中で、この生徒の周りだけ
時間が早く進んでいるのではないかと錯覚するほど、
テキパキ感がスゴイ(笑)
おかげで、1学期の期末テストでは500点満点中
480点を獲るという覚醒っぷりで、5科目オール5は
こうもあっさりと達成できたのです。
こうして1学期を走り切った彼女は、
その勢いのまま夏期講習会に突入。
学力ABCでの目標点240・250・260点を獲るべく、
受験対策に没頭し、結果から言えば
学力Aで250点・Bで270点・Cで260点という高得点
学校における2学期末の三者懇談でも
担任から志望校GOサインを貰い、
あとは冬期講習~受験までの「仕上げ」に入るだけでした。
実際、冬期講習でも彼女は猛勉強を重ね、
1月の道コンで270点を獲り、ついに、
Aランクの友人二人の点数を追い抜きました。
私も「ここに極まったな…」感慨無量。
しかし、この生徒の受難は、
まさにここから始まろうとしていたのです。
道コンの自己採点が終わった日から
私とこの生徒の50日間戦争がスタートします。
続く…