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いじめられっ子の大逆転(3)


一昨日、昨日の続きです。

Bさんに貶されながらも、一生懸命に勉強し

Bさんの成績を上回る事に成功したAさん。

いよいよ、受験直前となったのですが、

志望校におけるAさんの状況は

楽観こそできないが、倍率が低いので

多分大丈夫という難しい状況。

対するBさんは倍率が高すぎて、

とてもじゃないが厳しいだろう…って事で

志望校変更をして、なんとか合格できそうな感じ。

そして最後の授業の日に、

受験生全員に受験番号を聞いて廻るのですが、

ここで大事件です。

Aさんの受験番号の数字が「おかしい」のです。

本来Aさんが受けるはずだった高校を

同じく受験する生徒と番号が全然違うんです。

「あれ?Aさんが受ける高校、〇〇高校だよね?

番号が全然違うんだけど…」と私が言うと

「あ、受験校変更したんです。一つ下げました」とAさん。

ちょっと待て…一つ下げるって事は、

Bさんが最初に受けようとしていた

とんでもない倍率の高校を受験するって事になるけど…

そうなんです。Aさんは、私に内緒で志望校を変更

していたんです。なぜ内緒にしていたのか?というと

後で聞いたのですが、自信が無くなってきたことを

私に悟られたくなかったからだそうです…

そして受験を終えて、合格発表の日。

一つ志望校のレベルを落としたAさんは、

なんと不合格でした…

高校の合否に「もしも」はタブーなのかもしれませんが

最初に受けようとしていた高校ならば、

合格最低点を上回る点数を出していたAさんはきっと

合格していたのでしょう…

高倍率のワナに引っかかってしまったんです。

不合格者の家を謝罪して廻っていた私にとって

その年、一番行きたくなかった家がAさんの家でした。

意を決してインターホンを押してみると、

家にはAさんしかおらず、玄関前で少し話をしたのですが

Aさんは「志望校を下げた時点で、私の中できっと

変な余裕が出てしまったんだと思う」と言ってました。

なぜ、志望校変更を考えている段階で

私に相談しなかったのか?という質問に対して

「私って実はすごく負けず嫌いなんです。

もし大井先生に相談したら、志望校から逃げるな

って言われると思って、それが怖くて相談できませんでした」

との事…でも言っちゃうだろうな、私なら…(笑)

私がAさんに最後に伝えた言葉は

「公立高校の不合格は絶対に負けじゃないよ。

公立に合格した人よりも頑張る理由ができただけ。

私立に入って自分の目標に向かってガムシャラに頑張りなさい

3年後の大学受験まで『勝ち』はお預けなのかもしれないけど…」

「はい!絶対に頑張ります」と応えてくれたAさんは

いつもの乾いた笑顔ではなく、とても清々しい顔をしていたのを

覚えています。Aさんと話をしたのはこれが最後でしたけど…

月日は流れて3年後。

Aさんの弟さんが在塾していたので、

お母様から話を聞いたのですが、

Aさんは私立高校で、学年トップになる程の

学力をつけたんだそうです。

「どちらの大学を受験されるのですか?」と聞いた所

医療系の大学の模試でA判定とB判定を

行ったり来たりしているという話を聞き、

「ほぅ~看護学科ですか?」と聞いた所

「それが、医学部医学科なんです…」というじゃないですか!

その後、Aさんが本当に医学部医学科に合格したのか?

っていう事を知らずに今まで過ごしてきたのですが、

先日、Aさんの事を思い出して、インターネットで

Aさんの名前と「医師」と入力して検索してみたんです。

すると…

居ました。本当にお医者様になってました。

学会だか会合だかの時に参加されたお医者様全員で

撮ったと思われる写真を見て、すぐにわかりました。

写真の中でAさんは、私がAさんの家で最後に見た

あの清々しい笑顔でしたので…。

他のお友達に馬鹿にされて、貶されて、それでも

一生懸命に勉強して…でも高校受験は失敗して…

でも、私立高校でメチャメチャ頑張って、

その資格を得るのは最高峰に難しい「お医者様」に

なっているなんて…。

大逆転の人生だとは思いませんか?

Aさん、本当に頑張ったね!

その清々しい笑顔であり続けられるよう、

しっかりと自分の道を歩まれることを、

私はこれからも心より応援させていただきます。

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