いじめられっ子の大逆転(1)
私の元教え子の数はこの18年間で700人を超えます。
その中には色々な生徒がいるわけですけど
以前、ここのブログにも登場した
「奇跡」を起こした元サッカー部の男の子以外にも
ドラマを生んでいる生徒は何人もおりまして…
今回は、ある女子生徒のお話をいたしましょう。
その女子生徒の事はAさんと呼ぶことにしましょう。
小学6年生で私の担当している教室に来ました。
お友達のBさんに引き連れられるように
教室に入ってきたんです。
当然、入会手続きは保護者同伴でなければ
できないのですが、なぜか小6の女の子が
二人だけで乗り込んできたわけです。
私が「あら?こんにちは。どちら様ですか?」と迎えると
「塾に入りたいんですけど…」とBさんが言います。
Aさんは何も言いません。
「ん?二人とも塾に入りたくてきたのかな?」
と私が言うと、二人ともコクリと頷きます。
「塾に入るなら親御さんと一緒に来なきゃダメなのよ」と私が言うと
「お母さんもお父さんも忙しいので、お母さんが
『あんたが行ってきなさい』っていうので、私が来ました」とBさん。
念のため、私の当時の上司に電話してみると
『後日、必ず保護者とも面談を実施する事』が前提でOK。
幸い二人とも保護者の携帯番号を記した
メモ紙を持っていて、そこに私が電話して、
無事に保護者からも入会意志を確認しました。
その際、お母様たちから「本当にワガママ言ってスイマセン」と
言われたので、この小学6年生の二人を前に
入会面談を始めました。ここで、不思議な事が起こります。
「まずは…家庭学習の環境を…」と聞きはじめた所
答えるのは全てBさんではありませんか。
私がAさんに聞いているのに、
なぜかBさんが答えるんです(笑)
「Aは私よりもバカだから、勉強なんてしてないよね?」
「してたら、私よりも頭が良いはずだし、塾になんてこないよね?」
とか、本人を目の前にして平気で貶しまくるBさん…
話を聞いている私の方が、
顔から火が吹き出そうになったのを覚えています。
しかし、Aさんの表情は「渇いた笑い」っていうのでしょうか。
女の子の人形のような顔をしたままです。
特に頷くでもなく、返事をするでもなく…
私は面談の最後に「Bさんは答えなくていいから」と
先手を打った状態で、Aさんに尋ねました。
「塾で勉強を頑張って、どうなりたいの?」と。
しばしの沈黙のあとに
「…頭が良くなるってどういう事が知りたい」
Aさんは初めて蚊の鳴くような小さな声で私に言いました。
「あんたが、そんな風(頭が良くなる)になれるわけないでしょ!」
とすかさず、Bさんが喋り出してしまったのですが、
私は見逃しませんでした。
そのコメントにAさんの表情が初めて変わったんです。
目つきがグっと厳しくなってBさんを睨みつけたんです。
Bさんは全く気付いていませんでしたけど…
なるほど、AさんはいつかBさんを見返してやりたいのね。
私はそう理解して、彼女たちを入会させました。
…この話長いです(笑)
明日に続く。