詞(コトバ)のチカラ
宮沢賢治の話って幻想的ですよね。
仏教思想が色濃い作品が多いです。
銀河鉄道の夜なんかは、
その代表格です。
私が中学生だった時には
「オツベルと象」という話を勉強しました。
グララアガアという象の鳴き声の描写
なんかは、さすがは賢治って感じです。
言われてみればグララアガアですもんね(笑)
でも宮沢賢治の良さって
写実的な表現ではなく、
抽象的な表現の仕方にあると思います。
比喩表現なんですよね。作品そのものが。
塾らしく「比喩」の説明をすると、
何かを何かにたとえる語法が比喩です。
普通は「~のようだ」と直喩法を使いますけど
「~のようだ」が無いのが隠喩法です。
「うちの塾にはオオイという名前のゴリラがいる」
ってのが隠喩法ですね(笑)
あと「鳥が歌う」みたいな擬人法ってのもあります。
宮沢賢治の作品に話を戻すと
直喩が少なく、隠喩や擬人法が多いです。
だから、気をつけて読まないと
何が何だかわからなくなってしまうんです。
でも、その壊れた感じが面白いという人もいます。
「はっぴいえんど」という
バンドをご存知でしょうか?
日本の音楽界の御大の一人
細野晴臣氏が参加していた
伝説の「ロックバンド」です。
なぜ伝説なのか?と言いますと
フォークソング時代の日本の音楽界に
「ロック」を持ってきたバンドなんです。
最初はアメリカのロックバンドのコピー
がメインでしたが、そのうち
日本語歌詞でのロックを作ります。
この歌詞がまたスゴイ。
はっぴいえんどの詞は
メンバーの一人、松本隆氏の作詞と
なっていますが、はっぴいえんどの
メンバーは全員、宮沢賢治の世界観に
夢中になった方々だそうですよ。
その代表曲の風をあつめてという
歌の歌詞なんかは結構、賢治的なんです(笑)
全部載せると著作権云々で
うるさいので、一部分だけピックアップしますと
伽藍とした防波堤ごしに
緋色の帆を掲げた都市が
停泊しているのが見えたんです
とか
ひび割れたガラス越しに
摩天楼の衣擦れが
舗道を浸すのを見たんです
という歌詞。
壊れてますよね(笑)
防波堤越しに見えるであろうモノは
ヨットとか船なんでしょうけど
それを「都市」とたとえる…
摩天楼って高いビルですけど
ビルが重なっている事を
「衣擦れ」とたとえる…
いやぁ~深い(笑)
松本隆氏の語彙の多さが顕著でしょ?
この賢治的な歌詞と、細野晴臣氏の
音楽が融合して、すごい世界観に
なっているのが「はっぴいえんど」です。
たったの3年で解散してますけど
この伝説的なロックバンドに
影響を受けている現代のアーティストは
かなり多いんですよ。
もし音楽に興味がある人は
是非一度聞いてみて下さい。
「風待ろまん」っていうアルバムが
オススメです。