生徒と接する時(4)
私が塾業界に飛び込んで間もなく
自分自身の方向性も定まらぬまま
私のうさん臭さを見抜いた女の子と
イジメが原因で心を閉ざした男の子の
担当講師となりましたが、
女の子は私の「素の姿」に反応する事が
わかり、半年後には、かなり私の言う事も
聞いてくれるようになりました。
「宿題をやらない」という事を除いては(笑)
男の子の方は、ニコリともしないのは
相変わらずでしたが、私の一方的な話は
聞いてくれていましたね。
中学時代の部活の話
当時亡くなったばかりの愛犬の話
大学受験での失敗談も(笑)
ある日、その教室で事件が起きました。
起こしたのは私ですけど(笑)
隣のブースで授業をしていた学生講師が
生徒に向かって暴言を吐きました。
「こんな問題もできないなら死んだ方がまし」
この言葉を聞いた瞬間でした。
私も若かったんでしょう。気が付いたら
その講師に掴みかかってました。
「死んだ方がましだと?ふざけんじゃない!
お前も生徒に先生と言われる立場なら、もう少し
考えてものを言え」
当然、他の講師に止められたワケですが
私の怒りは収まりません。
「こーいう奴が一番腹が立つ。生徒は勉強が
苦手だから塾に来てるんだろーが!」
生徒たちは何も言いませんでしたが
その後の私に対する態度を見ている限り
この事件に関しては完全に私が正義だった
みたいですね。いつも笑っている私が
怒鳴り散らしたので少し怖い思いをさせちゃったかな?
その一部始終をみていた例の男の子は
この日から少し表情が緩んだ気がします。
私のこの事件での発言で「味方になってくれる人」
だと思ってくれたんでしょうかね?
私が授業中に指導しながら寝るという
ハプニングがありまして(笑)それに対して
声を出して大笑いしているではありませんか。
初めて声を出して笑っているのを見ました。
あれは本当に嬉しかったです。
無口なのはそれからも変わりは無いのですが
ようやく私の話を笑った目で聞いてくれるように
なったんです。
そして私が新しい教室に赴任する前
最後の日の事。
私にとって最高の出来事が起こります。
それはまた、明日。