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生徒と接する時(3)


私が自分をさらけ出すという

思想に至ったのは、塾講師になって

最初の半年での出来事が大きかったと思います。

特に最初の日です、最初の日(笑)

塾講師デビューの日までに、私の中の

「塾のセンセー像」を鍛えるために

スクールウォーズのDVDをレンタルし

全部観てイメージトレーニングをしたんです(笑)

今思うと笑えます。熱血泣き虫先生を

目指していたんでしょうか…

完全に山下真司氏演じる滝沢先生と

同じ心になってました。

One for All All for Oneの精神とか

少し目に涙を浮かべながら

頷いてましたもん(笑)

で、その私が最初に生徒に話しかけた言葉が

「お前たち全員の成績を俺が上げて見せる」

とか、そんな風な言葉でした。

その言葉に一人の女の子が反応します。

あの視線は今でも忘れません。

完全に見透かした目でした。

目の前の大人の「うさん臭さ」を完全に

見抜いていましたよ。

スクールウォーズを観たくらいの

薄っぺらい心で鼻息を荒くしたところで

子供の心は捉える事ができなかった瞬間ですね。

もちろん、最初の日ですからね、

ただ、私がビクビクしていただけ

だったのかもしれませんけど…(笑)

それから、私は思案に明け暮れる

日々を過ごします。どういう塾講師を

演じる事が一番生徒の為になるのか?

そんな事を考えていました。

私が最初に派遣された教室においては

私は教室運営業務ではなく、完全に

授業のみを実施する常勤社員でした。

そんな私に二人の「担当生徒」が与えられます。

私のうさん臭さを見透かした

あの女の子(当時小5)と

バスケ部所属の男の子(当時中1)です。

どちらも基本的には「心を閉ざしている」という

印象でした。ニコリともしない…

それともう一つ共通するのが

「学力が低い」という事。学力が低いから

笑わないのか、心に笑えるほどの余裕がないから

勉強ができないのかはわかりません。

とはいえ、当時の私はまだ初心者です。

テクニックなんかありませんので

何とかこの子たちを笑わせたいという一心で

授業をしていました。

女の子の方は、私の演技っぽい褒め方には

全く反応しないのですが、たまに「素」で出る

言葉にはニコっとしてくれるようになります。

具体的には「あれ?ゴメン、これ先生が間違ってたわ」

とか「これ難しかったよね…おや?できてるぞ?」

みたいな、私自身が虚を突かれるような事態が

発生した時にのみ、笑うようになりました。

一方、男の子の方は、どんな事をしても笑いません。

ずっとムスーっとしておりまして、

そのまま授業が終わってしまう感じです。

しかし、ある日、その理由が判明します。

同じ部活の生徒から「イジメ」を受けていたんです。

心を閉ざす理由はそれか…

もし私と何か話をしようものなら、

それが噂になりイジメがエスカレートする…

だったら…と、私は、この男の子に対しては

言葉のキャッチボールを求めるのではなく

一方的に笑える話をしていくようになりました。

ちょうど、今の私のように、全てをさらけ出す感じで。

さて、この男の子は、どうなっていくでしょう。

そして、あの女の子は?

また明日に続きます。

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