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塾の講師(2)


昨日の続きの話をしましょうか。

私も講師に手伝ってもらいながら

教室を運営していた時期が長くありました。

最初のうちは紆余曲折あったんです。

例えば、講師たちとの付き合い方…

仲良くやれていると思っていたのですが

それは大間違いでした。

気が付いたら講師たちは、私を

「対等」と思うようになってしまっていたんです。

私の指示が気にくわなければ

指示を無視するようになりました。

ある日、そんな講師たちが生徒に

「大井先生の言う事なんか信用しなくて良いよ」

と私に隠れて言っていたという話を

生徒達から聞くことになり、やむを得ず、

その講師とそれに従う3~4名の

講師を即日解雇した事もありました。

それ以外にも…

やる気のない講師

自分勝手な講師

生徒の成績に一切興味のない講師

先生と呼ばれたかっただけの講師

出会いを求めて応募してきただけの講師

中3生を教えるのはプレッシャーが大きすぎるのでと

勝手に座席を変更し出す講師(笑)

こんなのばかりでしたよ。最初のうちはね…

でも、ある一時期に最高の講師だけが

揃った事がありました。

講師の通っている大学も様々で

北大もいれば北海学園大も北星学園大も

札幌大学も札幌医科大もいましたかね。

全部で13人くらいだったと思います。

全員が一定レベルの授業ができるうえ

しっかりコミュニケーションも取れる

人格者揃いで、私も安心して生徒を任せてました。

ある日、そのうちの一人の女性講師が

授業中に大声で生徒を叱りつけてます。

「今日は帰れ!」と…彼女は絶対に

「カンニング」という言葉を出すことはなく

生徒が答えを机の中に隠して見ていた現場を押さえ

そう言ってました。怒られた生徒は泣いてます…

その中3の生徒はお勉強が苦手の生徒でした。

掛け算の九九も間違えてしまうような生徒です。

この生徒ならカンニングなんて愛嬌だと思う講師も

いるはずなんですが、この女性講師は違います。

その生徒は結局、

私立高校も公立高校も不合格になってしまいました。

その時、私に電話をかけてきてくれたんですよ。

そこで、とても印象的な事を言ってます。

「大井先生はいつも僕を守ってくれたのに、

先生の期待に応えられなくてごめんなさい。

それから、いつも僕を叱ってくれた〇〇先生に

本当に申し訳なくて…あんなに本気で僕の事を

考えてくれる先生は〇〇先生だけだったのに…」

〇〇先生というのは例の女性講師の事です。

彼女は常に彼を心配していたんです。

どんなに点数にならなくても、

人としてやってはいけない事だけはするなという

お勉強ではなく、人としての生き方を教えていたんです。

それをこの生徒は理解していたんです。

「生徒の事を一番に考えて」という言葉がありますが

この講師の行動こそが、それなんだと私は思っております。

そして「生徒を一番に考えている講師」は

他人がそれを見て判断するのではなく、

考えてもらっている生徒自身に伝わっているものなんだと

その講師に教わった気がします。

厳しい言い方になってしまいますけれども

それが生徒に伝わっていないのならば

「考えていない」と一緒なんですよね。

こういう模範的な講師に出会った私は

塾業界に従事している者の中でも

幸せ者だと思っております。

講師は「人」ですからね、正解なんて無いんです。

「個性」って言葉で片付けられてしまいますから。

私の理想の塾講師像は、この女性講師を始めとする

その時の講師陣です。

理想の教室像は誰しもが持っているものですが

それを経験している人はなかなかいませんからね。

今、私が抱いている教育理念の下で、

あの時のチームメンバーが揃うのであれば

絶対に最高の塾になると思っています。

いつか、そうなりますように…

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