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部下への信頼(3)


WBC残念でした。

いい試合をしていたと思います。

「USA!USA!」のコールって

ちょっとイラつきますね…

ニッポンチャチャチャと同じくらい

イラつきます(笑)

さて、昨日までの粗筋は

部下を信用できなかった私が

自分の限界を知って、

やむなく小学生を真面目な講師に

預けてみたところ、少しずつ

講師にも生徒にも変化が見え始めた

という話でした。

ある日、事件が起きました。

小学生の授業の時間が終わった後

例の真面目な彼が私の所にやってきました。

「大井先生、すいません!」

と頭を下げているではありませんか。

話を聞くと、授業中にずっと説教をしていて

気が付いたら授業時間が終わっていたというのです。

その生徒は中学受験を2か月後に控えており

この時期は1分1秒も惜しいくらいの状態で

90分の授業で何一つ教えず、演習もせず

ただ説教に明け暮れていたというのです…

「ほら見た事か!」というのが私の心の声でした。

生徒を任せると冷静さを欠き、感情のままに

授業をしてしまう結果がこれだと…

ただし、彼が終業時ではなくこのタイミングで

私に報告に来たというのは、明らかにクレームに

備えろという警告も兼ねていたのだと思います。

真面目な彼は次の時間も授業があった為

私は彼を授業に戻し、

私は説教だけで帰された生徒の授業報告書を

改めて読み直しました。

非常に良くまとまっている良い報告書でした。

その日何を学んだのか、何を質問してきたのか

前回学んだことの復習問題をやらせた事や

生徒から聞き取っていた

毎日の勉強時間も書いてありました。

私は、そこである事に気が付きました。

その勉強時間がここ1カ月くらいで激減しています。

その理由として考えられるのが「ネットゲーム」

というのも書いてありました。

なるほど、これか…

真面目な彼が説教をしたのはこれだったようです。

程なくして電話がかかってきました。

説教だけで帰された生徒の母親でした。

「大井先生、今日の授業を担当された

 先生の名前はなんていうのですか?」

母親の第一声はこれでした。

あー来た…私が報告書の内容を元に

弁解しようとしたその時、母親は矢継ぎ早に

言葉をつづけました。

「うちの子が、塾から帰ってきて泣きながら

 黙々と勉強しているんです。話を聞けば

 今日の先生がゲームはいつでもできるけど

 中学受験ってのは今しかできないという事を

 90分間全部使ってお話されていたようで…」

「あの子なりに思う所があったんでしょうね。

 あの鈍感な子をやる気にさせていただいて

 本当にありがとうございます」

「???」

まさか、この大事な時期に授業全部使って説教して

お褒めの言葉を頂けるとは思いもよらなかったので

しばらく言葉も出ませんでした。

私は説教の一部始終を聞いていたわけでは無いので

全てが納得できたわけでは無いのですが、

お母さんが言うように「鈍感」な生徒であるというのは

私もよくわかっていました。

その生徒を変える事ができたというのは、

多分、真面目な彼の「責任感」がその結果を

引き出したのではないかと思います。

部下に生徒を預けるというのは

ここまで、部下を育てるものなのかと

驚愕すると同時に感動すら覚えた瞬間でした。

そしてこの日から、私自身が変わるのです。

部下を信頼して彼らに色々な事を託す事となります。

この続きは、また明日。

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