迷子の話
今、道新サービスセンターに
3月8日(水)に入れる折り込みチラシを
持って行く途中、琴似のイトーヨーカドーの
横を通り過ぎました。
懐かしい…
私が4歳で西28丁目に引っ越してきてからは
週末は必ず琴似のイトーヨーカドーにて
買い物をしておりまして、
あの頃を思い出しましたよ。
この店には色々な思い出がありますけど
一番大きな想い出は
壮大な迷子になった事です(笑)
私は母親にチョロ男と言われるほど
親の傍から離れる質でしてね。
その日もウロウロしてました。
まぁ子供がウロウロしたところで
百貨店やスーパーに
面白いものが転がっている事は無く
結構早くに飽きが来た為
父と母の後ろに戻ったんです。
正確に言うと
父と母と思われる二人の後ろに…
前の二人は特に何も買わずに
外に出ました。当然私も。
「あれ?車で来たはずなのに…」
少し不思議には思っていましたが
前の二人は駐車場には行かず歩き始めました。
どこか面白い場所に行くに違いない。
子供心にはそう思っていたんです。
かなり長い距離を歩きました。
父と母と思われた二人は一言も話さずに
黙々と歩きます。
私も黙々とついていきました。
気が付くと見た事の無い景色が
自分の周りを取り囲んでおりました。
そんな事よりも、私を不安にさせたのは
一度も私を見ることなく歩く
目の前の父と母の姿です。
何で振り向かないんだろう。
何で一言も話をしないんだろう。
その時です。
父だと思っていた男性が
母だと思っていた女性に声を掛けました。
「後ろを見てみろ!ずっと子供がついてきてるぞ!」
その声を聴いた瞬間に
私は自分の不安が的中したと思いました。
声が違う!「うわぁぁぁぁぁんッ」
私は声を振り絞って泣きました。
この声が本物の父母に
届いてくれと言わんばかりに。
そこから先の事はあまり覚えていません。
でも覚えているのは、
どこかのマンションの高層階で
女の人が私を抱っこしてくれて
そのバルコニーの窓越しに下を見ていた事。
そのうち私の父が歩道を猛ダッシュで
こちらの方に走ってくる所
男の人は父をマンションの外で待っていてくれた事。
本当に御二方は優しくしてくれました。
オレンジジュースとお菓子を
出してくれていたのを覚えています。
「こんなに長い距離を一緒に歩いてきたなんて…」
って言葉を女性は父に言ってました。
私は父に会えた事でホッとしてまた泣いており
そこから先の事もあまり覚えてはいません。
後々、父に聞いた話によると
私は地下鉄琴似駅の隣の駅である
二十四軒駅までこの御二方と共に
歩いてきていたらしいです。
4歳が何も話さず
黙々と知らない男女の後ろをついて
地下鉄一駅分も歩いていたって
確かに凄いですよね(笑)
あの時のマンションの高層階から
抱っこしてもらいながら
外の道路を見ていた光景は
今でも鮮烈に思い出せますよ。
それだけ深い思い出なんでしょうね。
幸いうちの子供たちはチョロ女ではない為
当時の私の父のような
大変な思いはしなくて済んでおります…
自分でいうのもアレですけど
本当に私は面倒な子供だったなと
今更ながら反省しております(笑)
あの御二方、名前も聞いてないし正確な住所も
覚えていませんが、今は近くで塾をやらせて
もらっているので、もしかしたらすれ違っているのかも
しれませんね。もし声を掛けてもらったならば
全身全霊でお礼をさせて頂きたいと思っております。
「あれ?あの時の?」っていうのは…無いか(笑)